もやしもん

もやしもん(1) (イブニングKC)
 
 獣医学部漫画、音大漫画に続けと現れた農大漫画。ディープな人々を通じて専門領域の中身を味見できるのが同ジャンルのおもしろさであるが、この漫画でも樹教授が『納豆博士』小泉武夫氏(東京農大)まんまのキャラだったりする。
 
 で、その樹教授が実験体にと目論むのが、菌が「見える」*1能力を持つ主人公。菌たちは欄外の紹介コメントつきで作中をかもしまくる。特に世界最臭といわれるキビヤックの登場場面では、「臭い」の表現の新境地が切り開かれたともいえよう。
 
 さて、タイトルとなっている「もやし」は、中高一貫系の青少年に例えられる豆の芽ではなく種麹(たねこうじ)、つまりは味噌や日本酒の発酵(デンプンの糖化)を行うカビを指す。前者もそうだが、後者も原料となるものを「萌やす(芽生えさせる)」というのが語源なのだろう。つまりこの漫画は由緒正しき『萌え漫画』なのだ。
 
 「種麹屋」の歴史は古く、平安時代にはすでに商売として確立していたらしい。A(アスペルギルス)・オリゼーくんの万能ぶりをはるか太古に見つけていたご先祖様は凄いね。
 
 虫ブームの次に、来るかな?カビブーム。
 
参考1:小泉武夫氏の発酵本⇒アジア怪食紀行―「発酵仮面」は今日も行く (知恵の森文庫)
参考2:http://www.bioc.co.jp/home.html

*1:真菌、細菌、ウイルスが全部同じ大きさだったりするのだが、そんなことはさておきかわいい