5位 粗い Born to be Baseballer



新井貴浩
1998年ドラフト六位。
あまりにも無名な経歴は、金本に続く伝説の序章なのか。

「空に向かって打て」
「野球に恋しています」
「新ストライクゾーン?なんでも打っていきますよ」

こりずに口走る美学。そして現実との残酷なまでの乖離。

達川が先天性詐欺師ならば、
新井貴浩はいわば天然性の詐欺師、
野球界の大神源太だ。

野球人が恥ずかしくて口に出来ないことをさらりと言うこの男に、我々は何度だまされるのだろう。

とはいえ、このオープン戦における成績(4割15打点)、
今、粗いのトランスぶりは凄まじい。
大ボラ吹きの、理想がいよいよ現実に近づきつつあるというのか。

ならば敢えて注文を付けたい。

われわれは、粗いが守備において自分の理想を語ったのをいまだ知らない。
新井よ。今こそ、ザルよりもスカスカなその守備力にもラブラブ宣言するのだ。
いつか、いつかきっと、守備力の神様が振り向いてくれるその日のために。

「わたしは、三塁強襲ゴロに恋しています!」と。